今回は相対エントロピーの非負性、いわゆるギブスの不等式について見ていきます。
記号は前回において定義したものを使用します。
定理(ギブスの不等式) を可測空間、
、
を
上の確率測度とする。このとき\begin{equation}D(\mu\parallel\nu)\ge0\label{eq:Gibbs_inequality}\end{equation}を満たす。 等号が成立するのは
の場合に限られる。
証明 の場合、
かつ
となる
を取れば、
となり \eqref{eq:Gibbs_inequality} を満たす。
の場合について \eqref{eq:Gibbs_inequality} を証明する。
に対して
であり、かつ
であるから
これが任意の で成り立つから \eqref{eq:Gibbs_inequality} を得る。
とすると、任意の
に対して
より
が成り立つ。よって (
,
) となるが、任意の
に対して
であることに注意すると、これは
を意味する。(証明終)